〒920-0836 金沢市子来町57
電話 076-252-3319
高野山真言宗 宝泉寺
通称「五本松」(ごほんまつ)
\ 宝泉寺は、ココ! /
「段取り八分(だんどりはちぶ)」という言葉があります。
仕事を進める上で、事前の準備がいかに重要かをあらわした言葉。仕事の段取りをキッチリしておけば、その仕事は八割完了したも同然であるという意味です。この言葉の後に、「仕上げは二分」と続きます。
住職の修法する護摩供も同じです。
修行としての護摩供は、護摩木や丸香をつくったり、薬種や五穀の調度などの「段取りが八分」。実際の「護摩修法が一分」。「後片付けと次の準備が一分」といえるかもしれません。
段取りは一年掛かりですが、実際に火を焚いて拝んでいる時間は、ほんのわずかですね。終われば、掃除と準備。このくりかえしが、護摩です。
「段取り」+「護摩供」+「後片付けと準備」=「護摩法」。どれが欠けても続けられません。
当然ながら全部一人ではできません。心ある檀信徒のみなさまに助けてもらって、なんとかやらせてもらっています。
護摩供に向け
木を天日干し子来町の宝泉寺
11月23日に子来町の真言宗宝泉寺で行われる八千枚護摩供に向け、8日、護摩木8千本の洗浄と天日干し作業が行われ、檀信徒20人が真言を唱えながら護摩木を乾燥させた。
八千枚護摩供は釈迦の故事に基づいており、真言密教で最も過酷な荒行とされる。当日は宝泉寺の辻雅榮住職(58)が半日掛けて、護摩木を炎にくべ続ける。寺ではこれまでに10回、八千枚護摩供を成功させてきた。
護摩木は檀信徒の松田勲さん(76)が1年以上掛けて作った。輪切りされたスギの木をカッターナイフで約20センチにそろえて切る地道な作業で、制作中の昨年7月には脳梗塞を患ったが、病状の改善を願いながら作り続け、今では容体も快方に向かっているという。
8日、檀信徒とともに自身が手がけた護摩木の乾燥作業に取り組んだ松田さんは「生きている限り続けたい」と話した。
(「北國新聞」2018年10月10日)
おつくりいただいた護摩木を一本のこらず焚きあげ、
護摩で生じた功徳をみんなの利益のために回向いたします。
他者のために汗を流す、みなさまの菩薩行に感謝です。
さて護摩木づくりです。一番手間のかかる作業ですね。
手順は、だいたい下記の通り。
節の無い太くて大きい、まっすぐで立派なスギの木を選びます。能登岩倉寺のご住職さまの許可を得て、境内の特別な一本をわけていただいたり、当山檀信徒のお山からすばらしいスギの木をちょうだいいたします。ほんとうにありがとうございます。
事前に所有者の許可を得、スギの木に伐採の許可を得るために供物を供えてお経を唱えます。
法で定められた日に、大型のチェーンソーを使って伐採。
木の根元をしかり確認して、墨を塗って印を付けていきます。
クルマに積める長さに裁断。
自坊に到着して、すぐ輪切りにします。
輪切りした株の一つひとつの根本を確認。片面すべてを黒く塗っておきます。
湿っているうちに皮をむきます。
切り株にクサビを打ってあら割りします。
斧やナタを使って小割していきます。
三種類の寸法に合わせてつくります。松田さんの作業はここです。とくに乳木8,000本すべて、お一人でつくられました。法のとおり丸く削られた護摩木は、まさに芸術品!
できた護摩木を真言を唱えながら水洗い。
天日に干して、よく乾かします。拝みながら洗った護摩木は、ほんとうに美しく輝きます!ピカピカですよ。
三種類製作した護摩木を箱詰めしていきます。
できあがった護摩木の数を数えて、ひもで縛っていきます。
いよいよ完成です!
持ち運びしやすいようコンテナに収納。あとは、住職の護摩修法を待つばかり…
これら護摩木は、すべて当山檀信徒の手づくりです。
みなさんが心をこめてつくってくださった、この護摩木でもって、住職は護摩修法させてもらっています。こんなありがたいことはありません。
丹精こめて、護摩修行させていただきます。
特別なにも変わったことをしているのではありません。
ただ弘法大師をはじめ、護摩に命をかけてきた先師がなさったとおり、護摩のやり方をそのまま踏襲しているだけ。
護摩木をつくることや、護摩修法の作法をショートカットすることは、いともたやすい。
しかしいったん手を抜いた時点で、護摩が護摩ではなくなり、「護摩と化したようなもの」になってしまいます。「ごまかし」です。
ショートカットは蜜の味。行者が自分をごまかせば、修行としては、むしろ遠回り‥
護摩修法して、功徳や成果を急ぐなら、一見迂遠でも、着実な方法をとった方がいい。
急がば回れ!
護摩木をつくる原木、いつ伐るの?