台風21号の爪痕|身代わり地蔵尊

石川県内で猛威を振るった台風21号の通過から一夜明けた8月5日、観測史上最大の暴風に見舞われた境内で、倒れた樹木の枝や葉っぱが散乱。台風一過の青空の下、後片づけに追われました。

目次

台風、境内に爪痕

お隣さんからの倒木

台風21号の爪痕
台風21号の爪痕 境内に倒れたスギの大木

バキバキバキー
どっしーん!

墓地の参道にモミジとスギの木が倒れていました。

どうやら自坊の樹木ではなさそうです。お隣さんの木ですね。

過去にもお隣さんに立ち枯れた木が本堂に倒れる危険があって、樹木の伐採をお願いしましたが、ナシノツブテ。途方に暮れたあげく、やむなく自費で伐採したことがありました。

もしあのとき伐採を躊躇していたら、台風の暴風を受けて倒木。本堂がつぶれていたかもしれませんね。

そして今回の倒木です。また功徳を積ませていただきました。

天の助け、嘉康さん

さてどうしたものか、途方に暮れていたところに、嘉康さんが来てくれました。

さっそく倒木の伐採をお願いしました。

聞けば、二日間休みをとって、二十一支(護摩木)を裁断するために、朝早くから来てくださったのだとか。

それがたまたま、今日だったという偶然! なんというめぐりあわせでしょう。

まりちゃん

天の助け

復旧作業

スギの幹は直径50センチメートル以上、長さも10メートルを越えています。モミジはその半分くらいの長さです。

それにしても幹が太い。手動(ノコギリ)でいくらがんばっても、おいそれとは切断できそうにありません。

まず住職が嘉康さんの電動ノコギリを拝借、枝打ちからはじめました。

その間、嘉康さんがホームセンターに行って、ガイドバー35ミリメートルのチェーンソーを購入。さっそくチェーンソーで幹をドンドン輪切り。

昼食をはさんで、午後3時すぎまで倒木の切断と後片づけにをして、本日の作業完了。

ちょっぴり片づいた参道を見て、ホッとしました。

明日、暴風に耐えた本堂の大掃除。いたるところ土やゴミ入ってジャリジャリです。

身代わりになってくださったお地蔵さま

お地蔵さまの台座がスギの巨木を受ける

それにしても不思議です。

2本の巨木が参道をまたいで墓地に倒れたにもかかわらず、墓地の被害は某家のサオ石が一つ落下しただけでした。

そうかといって、喜んでいるばかりにはいきません。

台風21号の爪痕「身代わりになったお地蔵さま」
台風21号の爪痕 身代わりになったお地蔵さま

台風21号の爪痕「身代わりになったお地蔵さま」

横倒しになった木の下に、お地蔵さまの台座が見えます。

お地蔵さまが、みなさんのお墓の身代わりになってくださったのです。あと数センチずれていたら、みんなのお墓を直撃するところでした。

倒木を受けとめた瞬間、お地蔵さまがはじけ飛ばされ、激しく地面に叩きつけられ、胴体と首が離ればなれになってしまいました。

後で元どおりに接着して、ねんごろにおまいりしたいと思います。

住職

慈悲の力には限界がないということを
驚きとともに、知ることになりました。

代受苦ということ

お地蔵さまのすぐれたご利益を一つあげるとすると、「代受苦(だいじゅく)」です

代受苦とは、読んで字のごとく「代わって苦を受ける」ということ。

つまりお地蔵さまは、人の苦難を代わって受けてくれるというのです。

台風でスギやモミジの幹が倒れ、万が一お墓の上に落ちていたら… お彼岸におまいりに来られたとき、お墓が倒れていたらどうでしょう。悲しいですよね。

そこでです。

暴風でモミジが倒れ、スギの太い幹が折れた瞬間、本当はお墓に直撃するところをお地蔵さまが、

「よしきた、私にまかせて!」

と、みんなの身代わりになって、倒木を受け止めてくださったのです。そうに違いありません。

とはいえ倒れた大木も、これまで墓地を風害から守ってくれていたと思うと疎かには扱えません。明朝、あらためてお経を唱えて供養いたします。

お墓の身代わりになったお地蔵さま。これまでずっとお墓を風害から守りぬいて、力尽きて倒れた2本の大木。

お隣さんに成り代わって、倒木の後始末をした住職と嘉康さん。

代受苦は三者三様。

みんなそれぞれお墓を守るために、よくがんばりました。おつかれさまでした。

そして、ありがとうございます。

ほかにも風で倒れた石仏数体ありました。ぼちぼち修繕いたします。

最後に、今なお被災の傷跡に苦しむ方々に、一日も早い復興をお祈り申しあげます。

南無大慈大悲六道能化地蔵尊

金沢 摩利支天 宝泉寺 オンマリシエイソワカ
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