〒920-0836 金沢市子来町57
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高野山真言宗 宝泉寺
通称「五本松」(ごほんまつ)
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護摩供の第5ステージが、「世天段(せてんだん)」です。
護摩を種々の段数にわけて修法するなか、仏教の守護神を勧請(神仏の来臨を請うこと)して供養する一段。それが世天段です。
世天は、本尊と同体であり、その等流身(とうるしん=分身)であると考えます。現在の護摩法に世天への供養を行うのは、天はよく国土・行者・仏法を護り、私たちの災いと幸せをつかさどっているとされ、天を供養することで災いを除いて福を増すためです。
今は、護摩法の願うところを成就するために、とくにこの法を5段目に加えて修法しています。
私は、世天段において四臂不動明王(しひふどうみょうおう=腕が4本ある不動尊)を中心に、十二天(じゅうにてん)・七曜(しちよう)・二十八宿(にじゅうはっしゅく)を勧請して供養しています。
世天段のはじめに、不動尊を供養するのは、四臂(しひ)不動明王が世天を総括しているからです。
不動明王は右手に利剣、左手に羂索という通例の形に加えて、2本の腕を口の両辺においています。牙による悪に対する威嚇をあらわしています。
次に世天段で、十二天を供養します。
・伊舎那天(いしゃなてん)・帝釈天(たいしゃくてん)・火天(かてん)・焔魔天(えんまてん)・羅刹天(らさつてん)・水天(すいてん)
・風天(ふうてん)・多聞天(たもんてん)・梵天(ぼんてん)・地天(じてん)・日天(にってん)・月天(がってん)
これら十二天は、それぞれもとはインド神話の戦いの神で、仏教にとりこまれてのち、守護天となったものです。密教においては方位の神々です。
また「天」とは、この場合、天空のことではなく神々そのものをいいます。四方四維の八方〈東・南・西・北・北東・東南・南西・西北〉、および上下二方〈天・地〉の守護神に、日月〈太陽・月〉の二神を加えた十二の神々を一具(1セット)とします。
各天の守護方位とかんたんな説明は、下記のとおり。
尊 名 | 方 位 | 解 説 |
① 伊舎那天 | 北東 | シヴァ神もしくはルドラの変化神。風のすさまじい恐ろしさを神格化した天。諸魔衆。 |
② 帝 釈 天 | 東 | インドラ。古くヴェーダ神話に活躍する神。作物の育成に恵みを与えるという。スメール等の山に住む天鬼等。 |
③ 火 天 | 南 | アグニ。ヴェーダ神話の神。バラモン教での崇拝も厚い火の神。持明神仙衆。 |
④ 焔 魔 天 | 南西 | ヤマ。ヴェーダ神話の神。死の象徴とされたが、やがて冥界の王となる。五道冥官、疫病神、餓鬼。 |
⑤ 羅 刹 天 | 西 | ニリチ。暴悪な肉を食う鬼神。破壊と滅亡をつかさどるという。諸羅刹、食血鬼衆。 |
⑥ 水 天 | 北 | バロナ。古くは天地を保ち、神人両界を知るつくすバラモン教の神。のちに、河川や湖沼の神となる。竜を統率するという。 |
⑦ 風 天 | 西北 | ヴァーユ。人に福徳や長寿を与えるという。諸の風神、無形流行神。 |
⑧ 毘沙門天 | 北 | クべラ。ヴェーダ時代から古い神で、夜叉鬼神の主とされ、財宝福徳をつかさどるという。諸薬叉、食鬼神。 |
⑨ 梵 天 | 天 | ブラフマン。バラモン教において一切万有の根源、宇宙の創造神として崇拝される神。色界静慮、一切諸天。 |
⑩ 地 天 | 地 | ピリチビ。万物を育成させる大地の神。地上、樹下、野沙の諸神。 |
⑪ 日 天 | 日 | アニチヤ。太陽神スールヤの別称。創造力をつかさどるという。星衆、七曜諸執等。 |
⑫ 月 天 | 月 | チャンドラ。月や光明をいあらわし、バラモン教では諸徳を神格した神という。二十八宿、十二宮、一切衆生(星座)。 |
七曜は、日・月・火・水・木・金・土の七曜。太陽系の遊星です。
① 日 曜 | スーリヤ。太陽を神格化した尊。 |
② 月 曜 | ソーマ。月。 |
③ 火 曜 | アンガーラカ。熒惑、罰星と呼ばれる。 |
④ 水 曜 | ブダ。水星。 |
⑤ 木 曜 | ブリハスパティ大主、歳星ともいう。 |
⑥ 金 曜 | シュクラ。金星。太白、長庚ともいう。 |
⑦ 土 曜 | シャナイシュチャラ。土星。 |
月の満ち欠けに着目し、新月から満月を経て、新月に至る1ヵ月の間に月がどのように進行してゆくのか、天空に定点を打ったのが二十八宿です。
この定点の近くにあまたの星の中から恒星をさがしだして、それを星宿(月の宿る宿とし、月の軌道(白道=はくどう)上に順次星宿をおいていったもの、それが二十八宿です。
① 昴(ぼう)宿 | おうし座のプレアデス(スバル)。 |
② 畢(ひつ)宿 | おうし座のアルデバランを含む。 |
③ 觜(し)宿 | オリオン座の中にある。 |
④ 参(しん)宿 | オリオン座とほとんど一致する。 |
⑤ 井(せい)宿 | ふたご座とほとんど一致。 |
⑥ 鬼(き)宿 | かに座にある。 |
⑦ 柳(りゅう)宿 | うみへび座の中にある。 |
編集⑧ 星(せい)宿 | うみへび座のα星を含む。 |
⑨ 張(ちょう)宿 | うみへび座の中にある。 |
⑩ 翼(よく)宿 | うみへび座の中にある。 |
⑪ 軫(しん)宿 | とり座と一致する。 |
⑫ 角(かく)宿 | おとめ座のスピカ。 |
⑬ 亢(こう)宿 | おとめ座の中にある。 |
⑭ 氐(てい)宿 | てんびん座とほとんど一致。 |
⑮ 房(ぼう)宿 | さそり座の頭の部分。 |
⑯ 心(しん)宿 | さそり座のアンタレスを含む。 |
⑰ 尾(び)宿 | さそり座の尾の部分。 |
⑱ 箕(き)宿 | いて座の初めの部分。 |
⑲ 斗(と)宿 | いて座とほとんど同じ。 |
⑳ 牛(ぎゅう)宿 | やぎ座のβ星を含む。 |
㉑ 女(にょ)宿 | みずがめ座の中にある。 |
㉒ 虚(きょ)宿 | みずがめ座のβ星を含む。 |
㉓ 危(き)宿 | みずがめ座のα星を含む。 |
㉔ 室(しつ)宿 | ペガサス座の並行四辺形。 |
㉕ 壁(へき)宿 | ペガサス座の並行四辺形。 |
㉖ 奎(けい)宿 | アンドロメダ座。 |
㉗ 婁(ろう)宿 | おうし座のα星を含む。 |
㉘ 胃(い)宿 | おうし座の中にある。 |
行者をとりまく環境の供養と感謝。それが護摩の第5ステージ「世天段」です。
イメージをどんどんふくらませて、護摩の三昧に入ります。
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