永代日護摩修行

永代日護摩修行

高野山時代、暇さえあれば、護摩修法させていただける道場を探して、護摩を焚いていました。その一つが、高野山金剛峯寺大伽藍の愛染堂でした。そこで、初めて知ったのが「永代日護摩修行」という言葉です。

当時(平成7年)、まだ愛染堂には「永代日護摩修行」という門標が掲げられていました。長い年月同じ道場で日々の護摩修行を欠かさないということを神仏に誓いをたてて、事の成就を願ったものだったかと思われます。恐らくは、戦時中、金山穆韶座主猊下が高野山根本大塔で世界平和のため毎日護摩修行されておられた頃のもので、あとから根本大塔に据え置かれていた護摩檀が愛染堂に移設され、愛染明王を供養する護摩壇として利用されていました。

それはそれとして、「永代日護摩修行」と墨書された門標を初めて知ったときの衝撃は、いまでも忘れられません。それまで護摩は、毎日修法するものではなく、特別なときにだけ修行するものだと思っていたからです。そういう事ではなきて、「毎日が一度限りの特別な日だと思って生きてゆきなさい」ということだと、気づかせていただきました。だから、毎日護摩の稽古を続けるのだと思います。

とはいえ、私にとって、護摩法は簡単ではありません。おいそれと習得できるはずがありません。それでも、愛染堂のこの護摩壇で金山猊下が毎日護摩修法されていたのかと思うと、感無量。ただ、それだけで、うれしくて、ありがたくて、暇さえあれば、愛染堂に通わせていただきました。時間がなくても、護摩ができなくても、掃除させてもらうだけでもうれしかった、なつかしい思い出です。あの出会いがなければ、これほど護摩に打ち込むこともなかったかもしれません。

平成7年3月、縁あって、金沢宝泉寺に入山。その二日後から本堂に「永代日護摩修行」の門標を掲げ、護摩の稽古を始めました。手始めに、護摩に慣れるために、息災護摩法をまず1000座やってみることにしました。簡単なようで大変でした。夏に火を焚けば、本堂は40度を超え、冬は金剛杵をとる手がかじかみます。それでも毎日やっていると慣れてきて、いつぞや護摩が作業になっていました。本末転倒。一体全体なにをやっていることやら、恥ずかしいかぎりです。

さらに5年、少しずつ座られるようになってきました。座り方がわからないまま、長時間無理な姿勢をとっていたせいか、腰痛で歩けなくなったこともしばしばです。試行錯誤をくりかえし、10年たって、自分の腰が安定してきました。腰が決まれば座が安定します。すぅ〜とカラダが動いて、ムダがなくなります。2000座、3000座…  ようやく座が決まったようです。

いっぱしに護摩ができているような気がしてきました。そこで顔を出すのが、思い上がりです。無知、傲慢の至りです。これほど愚かなことはありません。そんなものは、なんの役にもたちません。すぐさま新たな壁にぶつかります。ときどき爽やかな境地を経験することもありますが、一晩寝たら、元の木阿弥。木っ端微塵。しょせんそんなもんです。

それでも20年、ただ毎日同じことをさせてもらえることが無性に有り難く、素直に手を合わせることができるようになってきました。ちょっぴり護摩に身体が慣れてきたのかもしれません。まだまだ護摩の稽古を続けます。手抜きはしません。

ある修行者は、

「菩提心を一度おこしたら、福徳も菩提心が積み、罪障も菩提心が浄化する。修行の妨げも菩提心が除く」

とお教えになっています。すばらしい言葉だと思います。本当にそのとおりです。私は菩提心にうながされ、護摩を続けさせてもらっています。

菩提心の偉大なる功徳を心底納得し、菩提心を修習すためにも、信仰と尊敬の喜びの心をおこし、みほとけさまの大悲のみ教えにふれ、大きな力によって救われていることを知り、この偉大な心と喜びをもって、この道を生き抜いてゆこうと思います。

護摩一つをもって、行き着くところまで、行って見ようと思います。

永代日護摩修行

菩提心(ぼだいしん、梵: Bodhicitta, ボーディチッタ)とは、大乗仏教において菩薩に求められる「悟りと衆生救済」を強く願う心のこと。原義では、ボーディ(bodhi、菩提)が悟り(覚り)、チッタ(citta)が心、総じて「悟りを求める心」の意だが、通常は四弘誓願(しぐせいがん)と同一視され、単なる「悟りへの到達」のみならず、衆生救済が含まれていることが求められる。
(Wikipedia)
オンマリシエイソワカ
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