火天召請と供養壇

火天召請と供養壇

護摩には、古代インドのヴェーダ以来、火天が基本であり、いかなる本尊のために護摩を修するにしても、まず火天を炉中に召請し、供養し、ひいては本尊に関係のある他の諸尊や世天(天部)を召請し、供養しますが、これには一段より九段に至る護摩法があります。

諸経軌によると、次のように説かれています。

段数召請する諸尊典拠とする経典儀軌など
一段護摩火天のみ『大日経』「世出世護摩法品」
二段護摩火天、本尊『火吽供養儀軌』一
三段護摩火天、本尊、諸尊『尊勝仏頂儀軌』)
四段護摩火天、諸尊〈本尊合供〉、世天、後火天『金剛頂略出経』第四)
五段護摩火天、部主、本尊、諸尊、世天『陀羅尼集経』第十二
六段護摩火天、部母、本尊、滅悪趣、後火天、世天空海『護摩口決』
七段護摩火天、曜宿、部母、本尊、諸尊、滅悪趣、世天空海『護摩次第』
九段護摩火天、宿曜、本尊、諸尊、世天、羅惹、百官、法界有情、自身増蓮『四種護摩要抄』上巻

これらのうち東密では小野(曼荼羅寺)・随心院・醍醐寺)、広沢(大覚寺・仁和寺)を通じて五段護摩を修することになっています。

それも弘法大師空海上人の『息災護摩』による「火天・本尊・諸尊・後火天・世天」の五段護摩です。小野の仁海僧正(951ー1046)が、『陀羅尼集経』第十二により「火天、部主、本尊、諸尊、世天」を修してからは広くこれによっています。これを修したあと、さらに神供壇を別に設けて八方天等を供養いたします。

後火天段は『蘇悉地経』「護摩法則品」などに、護摩が終って供物に残余があれば再びこれを火天に捧げよと説かれることによって成立したものといわれます。

しかも、火天を世天中の最上位において、世天段に先立って後火天段を修します。

オンマリシエイソワカ
オンマリシエイソワカ

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